抄録
業務建物の運用時の環境負荷低減対策は,建物内部の対策,建物単位の対策,さらに地域冷暖房や廃棄物再資源化などのように地域レベルの対策など,様々な階層の対策が存在する.さらにこれらの対策導入量は,建物の新築,建替え数により変動し,建築·廃棄時における環境負荷とのトレードオフの関係を有するものもある.本研究は,業務建物において複数の対策の重複効果などの相互関係を評価する方法を検討するとともに,国内業務部門の対策導入効果を様々な条件で容易に評価するための解析モデルを構築したものである.特に本報ではCO2排出量についてモデルを構築し,建物長寿命化に伴う建築·廃棄時のCO2排出量と,運用時省エネルギー対策によるCO2削減効果の相互効果の評価を行ったものである.