2010 年 66 巻 4 号 p. 194-200
トンネル建設など坑内作業中に発生する粉じんは,建設作業員がそれを吸引することでじん肺症を引き起こす原因のひとつと言われている.平成20年より,半月に1回の粉じん濃度測定がトンネル施工管理者に義務化された.従来,粉じん濃度測定にはデジタル粉じん計がよく使用されるが,測定に時間がかかることや測定機器固有の換算係数を設定する必要があることからより迅速で簡単な計測法が望まれていた.そこで,著者らはデジタルカメラを用いて坑内に浮遊する粉じん濃度の測定方法を考案した.しかし,実用化に向けての課題も明らかとなってきた.本研究では,フラッシュ撮影画像から粉じんの反射画像のみを抽出したうえで統計分析し,その結果をニューラルネットワークに学習させることにより,従来法以上の精度を有する粉じん濃度測定方法を提案する.