抄録
平成29年7月九州北部豪雨において筑後川水系寒水川では大規模な土砂氾濫が発生し大きな被害を受けた.本研究では寒水川を対象に被災直後から現地調査を行うと共に,国土地理院が撮影した空中写真と衛星画像を用いて斜面崩壊・土石流および水・土砂氾濫域の抽出を行った.その結果,寒水川では大量の水と土砂が河川に流入したため,土砂災害警戒区域より下流の平野部で,水だけでなく土砂も氾濫する土砂氾濫が生じたことが明らかとなった.また,LPを搭載したUAVによる測量を行い,河川周辺の土砂堆積量の見積もり及び河川氾濫の再現シミュレーションを行った.再現シミュレーションの結果,災害前の地形を用いた場合には実際の水・土砂氾濫域を十分に再現することはできなかったが,災害後の地形を用いた場合には実際の氾濫域と同様に下流部右岸でも広範囲に氾濫する様子が再現可能であった.