抄録
本研究では,流域内の空間スケールを対象に,年単位の積雪分布,および日単位の降雪・気象状況(いずれも2014年~2016年の期間内)と積雪の化学的な組成要素の関係を求めるアプローチより,地域スケールに対する降雪プロセスの特徴を把握できる基盤データの整備に取り組んだ.研究対象領域として阿賀野川流域を設定し,気象データと積雪の安定同位体比,イオン組成のデータを用いることで,降雪プロセスを追跡する調査を行った.結果として,阿賀野川流域全体は日本海側由来の降雪で支配されやすいが,阿賀野川流域の縁辺部に相当する太平洋側(南東~東部)の領域は南岸低気圧の影響を大きく受けやすく,太平洋側由来や地域固有的水循環に由来した降雪が生じる可能性を明らかにした.