2018 年 74 巻 5 号 p. I_1495-I_1500
近年,都市型内水氾濫が多発しており,内水氾濫に備えるために下水管の水位・流量モニタリング手法の確立が急務である.流量算出と内水氾濫危険度把握のためには,それぞれ流速と水位を精度良く内外挿する必要があり,力学的内外挿法(DIEX法)が有望である.本研究では,従来,河川向けに開発されてきた流量用DIEX法と水位用DIEX法を下水管路に適用可能になるように改良した.本手法の有効性を検証するために,室内実験と仮想管路流データを用いた検討を行った.その結果,流量用DIEX法では,開水路,遷移,圧力状態のいずれでも流速データを精度良く同化し,滑らかな流速分布を推定でき,参照値と概ね一致する流量を算出できることが示された.また,水位用DIEX法では,計算領域の全体にわたって水位推定精度が大幅に向上し,水位モニタリングへの基本的な有効性が示された.