2019 年 75 巻 1 号 p. 155-164
河川堤防の浸透に対する安全性を照査するためには,河川水や降雨によって発生する堤防内での浸透挙動を精度良く把握することが重要であり,堤防での浸透挙動計測を長期間実施する必要がある.本文では,出水時に堤体裏のり先や基礎地盤からの漏水および堤内地での噴砂現象が発生している河川堤防において,河川水位の変動,基礎地盤の水位変動や堤体内での浸潤線の発生,そして,堤体裏のり面での降雨量,のり面表層領域での土中水分量の動態に対する計測を2年間実施した事例を報告する.計測期間中に発生した台風や集中豪雨などによる複数回の出水時において計測された浸透挙動に基づいて,河川水位上昇によって生じる基礎地盤や堤体内の水位変動や降雨による堤体裏のり面表層領域での土中水分貯留量の特徴について考察を行った.