2020 年 76 巻 2 号 p. I_121-I_126
近年,過去の気候変動の再現にデータ同化が取り入れられている.本研究では,プロキシの酸素同位体比を用いたデータ同化によって過去千年間の気候変動を再現するために,第一推定値を変えた複数の実験を行った.本研究の結果から過去の大規模な火山噴火後における全球的な気温低下や中世温暖期と小氷期気温差の分布を再現した.火山噴火後の気温低下はデータ同化を用いた他の研究による再現結果でも同様に確認できた.一方,中世温暖期と小氷期の気温差の分布では太平洋熱帯域を中心に違いが見られた.他の研究では統計的なプロキシモデルを,本研究では同位体比の変動過程に対応したプロキシモデルを用いている.データ同化に用いた気候モデルやプロキシ以外に,この手法の違いが再現結果の差に表れていることが示唆される.