2020 年 76 巻 2 号 p. I_1267-I_1272
国の特別天然記念物である阿寒湖のマリモは減少傾向にあり,生長や球化,維持機構に関する知見の集積が急務となっている.本論文では,マリモの挙動に個別要素法(DEM)を適用し,DEMにおける弾性係数𝑘と粘性係数𝛼を室内実験によって推定した.その結果,マリモの大きさや密度に関係なく,𝑘と𝛼を統一できる可能性が示された.また,水中での非破壊検査が可能な磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)を用いて,マリモの基部の位置関係と糸状体の伸長生長方向を確認した.代表スケール2cmから8cmまでのサイズのマリモを対象としたMR計測の結果から,糸状体が基部から生長し,マリモが生長するにつれて基部が外縁から中心に移動する傾向が確認された.