水工学論文集第65巻
石炭灰造粒物と海底泥の混合層が形成する珪藻増殖環境の検討
2020 年 76 巻 2 号 p. I_1273-I_1278
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_1273-I_1278
沿岸水産物の生産力低下は貧栄養状態が主な原因と考えられている．沿岸域での貧栄養化の問題は藻類の増殖能力を低下させることであると考え，藻類，特に珪藻が増殖される水環境の形成について検討した．石炭灰造粒物（Granulated Coal Ash, GCA）層では，底泥の老化（酸性化，還元化）抑制，底泥からの栄養素の溶出，透水性の改善（土粒子分散効果）等を促進して良好な珪藻増殖場を構築できている．本研究では感潮域に敷設されたGCAへの付着珪藻調査，珪藻増殖実験，GCA底泥混合層からの鉄イオン溶出試験を実施して，珪藻増殖に対するGCA効果を検証した．この結果，長期にわたるGCAからのSiO2の継続的な溶出とGCAによる底泥からの栄養素（N，P，Fe，SiO2）の溶出があり，これらが珪藻の増殖に寄与していることを明らかにした．
