2020 年 76 巻 2 号 p. I_325-I_330
河川堤防周辺の浸透流は堤防決壊の一因であり工学的に重要な問題であることから,古くより地盤工学や河川工学の分野で数多くの研究が行われてきた.浸透流を記述する方程式系は比較的単純であるため数値計算も容易で,それによっておおかたの問題は解くことが可能であろう.そのような中で本研究は,基本的な物理メカニズムの理解を目的として,Dupuit-Forchheimer型の簡易なモデルを用いて複層を有する堤防周辺地盤の浸透流解析を行ったものである.複層構造の地盤では上層と下層の透水係数の比が小さいほど,透水層の広がりが狭いほど,堤内地側透水層内のピエゾ水頭は高くなり,パイピングのリスクが高まることが示された.また,堤防の透水性は堤内地側のピエゾ水頭を上昇させることを理論的に明らかにした.