2020 年 76 巻 2 号 p. I_481-I_486
令和元年8月佐賀豪雨により,佐賀県六角川流域において発生した内水氾濫状況の実態を明らかにするために,現地調査と1次元・2次元カップリング型氾濫シミュレーションを実施した.洪水痕跡に関する現地調査により,六角川・武雄川の左岸では,浸水深2m以上のエリアが広く存在し,全体では,氾濫面積は56.8km²,氾濫水量は4,088万m³となり,この氾濫面積は平成30年西日本豪雨の約30%に相当した.氾濫シミュレーションにより,内水量のピーク値はポンプ排水量最大値の7倍に達し,今次豪雨では,ポンプ排水だけでは内水排除は困難であった.このため,内水・外水対策のバランスの取れた流域治水の必要性について検証した.