2020 年 76 巻 2 号 p. I_7-I_12
本研究では,5km解像度領域気候モデル(RCM05)を用いて,梅雨豪雨の強雨継続時間と積算雨量の将来変化について統計分析,及び,豪雨の時空間特性を考慮した分類に基づく将来変化特性の詳細分析を行った.まず積算雨量に関する統計分析の結果,現在と将来の梅雨豪雨の母集団は有意にかけ離れている事,また将来は,発生頻度のピークが強雨継続時間の長いほうへシフトする事が示された.さらに,気団の収束域(梅雨前線)と梅雨豪雨事例の強雨域の位置関係に着目して梅雨豪雨を時空間スケールの異なる2つのタイプに分類した.その結果,時空間特性の違いにより強雨継続時間と積算雨量の関係が異なる事が明らかになり,同じ“線状降水帯”であっても異なる時空間特性を持つ現象は区別して扱うことの重要性を示すことができた.