2021 年 77 巻 1 号 p. 12-23
大規模な線状降水帯等により広範囲での水害発生が想定される場合,複数河川の氾濫を考慮した水災害リスク評価が必要である.本研究では,梯川及び手取川での同時破堤を想定した氾濫シミュレーションを実施し,浸水深と氾濫流速を用いたリスクランクによる水害リスク評価を実施した.また,各時刻の避難困難度を求め,避難判断水位に達した時刻からの避難可能時間を算定した.同時破堤が発生した場合,二河川の影響を受ける梯川右岸側で浸水深が大きくなった.二河川の影響を受ける地域では,両河川の水位観測所での避難判断水位到達時刻に応じて,避難可能時間算定に用いる水位観測所を変更する必要があることを示した.また,二河川の洪水波の時間差によっては,遅れて避難判断水位に到達した河川を基準とした避難活動が必要な場合があることを示した.