2021 年 77 巻 2 号 p. I_1111-I_1116
都市河川感潮域で発生するスカムは,塩分や溶存酸素(DO)濃度と関連していることが知られている.そこで本研究では,石神井川感潮域および東京湾・隅田川・荒川を対象にして広域三次元塩水遡上・DO流動モデルを構築し,流動・水質の変動特性を解析した.大潮時には塩水遡上は強混合型となり,隅田川中流部まで到達するものの石神井川には到達せず,小潮時には塩水くさびを形成して石神井川まで到達していた.東京湾の貧酸素水塊(2.5mg/L)は,河道底泥の酸素消費を考慮しない場合は石神井川に到達すると4mg/Lになるが,河道底泥の酸素消費を考慮すると1mg/Lになった.スカムが発生しやすい条件は,小潮で底泥中に嫌気性ガスが蓄積された後,中潮・大潮で低塩分・低水圧になる時と推測された.