2021 年 77 巻 2 号 p. I_211-I_216
気象研究所の超高解像度気候モデル(MRI-AGCM3.2S)の150年連続ランを用いて日本全国の水資源量(水資源賦存量)の長期変化を予測した.気候変動と土地利用変化の影響を切り分けるため,複数の土地利用シナリオに対して算定したところ,人口変化が大きな地域において水資源量は500㎜程度の差が表れた.気候条件の変化の地域的な分布に対応して,北日本などで水資源量が大きく増加する一方で,全国的に蒸発散量の増加も顕著であり,特に中部山岳地域で大幅に水資源量が減少することが予測された.各流域別に調べたところ,長期的な変化パターンは流域により様々であり,現在から将来にかけて気候値が一方向的に変化するとは限らず,世紀末よりも早い時点で水資源量がより厳しくなる流域がいくつか存在することが明らかとなった.