2021 年 77 巻 2 号 p. I_295-I_300
洪水予測技術の高度化は重要である一方,住民目線では氾濫発生を直接的に予測できる簡便な指標があれば,事前避難により繋がると考えられる.本研究では,目標リードタイムを半日~一日とし,降雨から氾濫発生を直接的・確率的に予測する簡易法を提案した.全国109の一級水系にて氾濫危険水位に相当する流域平均雨量(Lv4雨量)を算出し,Lv4雨量とアンサンブル予測降雨データを用いて,水系内の河川水位が氾濫危険水位に到達する確率(氾濫危険確率)を評価した.本手法を2020年7月豪雨・九州地方の一級水系に適用したところ,適切なLv4雨量を選定すれば,予測結果の一致率は27.8%,見逃し率は0.76%,空振り率は5.46%となり,リードタイムも中央値で19時間となり,本手法の有効性が示された.