抄録
本稿は四段階推定法などに用いられる交通分担をオンデマンドバスの実走行ログデータを用いて行うシミュレータの開発とその評価について述べる.具体的には,様々な移動手段が実装されたコンピュータ上の仮想都市内で,犠牲量モデルによって適切な交通手段を選択しながら移動する利用者を発生させ,地域内の交通状況を調べるものである.本手法は,利用者の発生にオンデマンドバス実証実験で得られたログデータを用いることで,正確な移動需要の発生状況を模擬できることに特徴がある.
また,ケーススタディとして,大阪府堺市のLRT導入計画を本シミュレータによって評価し,現地で検討されているものと同等の帰結を得,本シミュレータの結果の信頼性を確認できた.