2012 年 68 巻 4 号 p. 291-304
本研究は,輸送部門を独立した一部門として取り扱う空間応用一般均衡(SCGE)モデルの枠組みと特長を示すとともに,現在施工中の東海環状自動車道に適用し,その経済効果分析を示したものである.多くのSCGEモデルは輸送部門の複雑さを回避するため,一般には氷解モデルを用いている.本研究では氷解モデルの問題点を指摘するとともに,輸送マージンによる方法ではなく,所要時間短縮が家計の拡張された可処分所得変化を通して発現するモデルを提案している.また,道路の改善に伴う地域間の所要時間短縮を経済一般均衡とリンクさせるため,地域間交易係数のシェア・パラメータを空間相互作用モデルで推定する方法を提案し,道路改善が地域間アクセシビリティを変化させるように機能するモデルを提案している.