抄録
これまで,空間的応用一般均衡モデルを活用した交通基盤整備の効果分析は多く行われてきたものの,分野別(例えば道路,港湾等)の効果計測が基本となっており,分野横断的な効果分析を可能とするモデル構築は行われてこなかった.本研究では,道路整備のみを分析対象としていた従来型の空間的応用一般均衡モデル(RAEM-Light)に対して,港湾整備を分析の対象として加えることで,同一のプラットフォーム下で分野横断的な事業の効果を分析できる枠組みを構築した.本モデルの構築により,国土計画的観点からは交通基盤整備事業の優先度検討の基礎情報としての活用,整備される交通基盤の有効活用の観点からは各基礎自治体レベルの戦略的な産業政策検討のための基礎情報としての活用が期待される.