抄録
都市拡大は生物多様性や地球温暖化を含む環境問題に多大な影響をもたらすと考えられている.本研究ではAlonsoの単一中心都市モデルに住宅開発部門を導入した都市モデルを作成し,これを世界約3600都市に適用する.本モデルは土地市場と床市場を分離することで建築生産性の分析を可能としている.このモデルを用い,まず2000年の市街化データと整合的な都市別の交通コストを逆推計した.次に将来の社会経済シナリオ,およびそれと整合的な交通コストシナリオを設定し,2050年までの都市面積を推計した.また,建築生産性向上と交通コスト低減シナリオを設定し感度分析を行った.その結果,人口増加と経済成長は都市拡大に多大な影響をもたらすことが示され,また建築生産性の向上は都市拡大を抑制し,交通コストの削減は都市拡大を促進することを示した.