抄録
交通計画を行う際の基礎指標である生成原単位は,将来にわたって大きく変動しないことを前提とされてきた.しかし,複数の都市圏で生成原単位が減少していることが報告されている.この背景を把握することを目的に,特に生成原単位の減少が大きな30歳代前半の人々に絞り,アンケート調査結果や近畿圏PT調査データを用いて,様々な個人属性別の移動実態の変化を分析した.
その結果,外出状況の違いは年収や運転免許証の保有と関係があること,かつて生成原単位が大きかった免許ありの人や無職等の女性で,生成原単位が大きく減少していること,それらは,1日に複数回のトリップを行う人たちや外出者の減少が影響していることが明らかになった.これらの影響を受けて生成原単位が減少している実態を,定量的に把握することができた.