抄録
多くの地方自治体では,技術者の不足や予算制約のため,十分な橋梁マネジメントが実施されているとはいいがたい.このような状況の中で,地方自治体が管理する膨大な橋梁すべてを対象として,劣化予測やライフサイクル費用に基づいた橋梁の維持補修計画の策定をめざすことは現実的ではない.むしろ,劣化特性や損傷の種類に基づいて橋梁をグループ化し,グループ内における補修戦略の標準化とグループ間の差別化を通じた補修戦略プロファイリングを行うことが望ましい.本研究では,混合マルコフ劣化ハザードモデルを用いた劣化速度の異質性のモデル化と,劣化速度の異質性に着目した補修戦略のプロファイリングのための方法論を提案する.さらに,国土交通省近畿地方整備局が作成した橋梁点検データを対象とした実証分析を試みる.