抄録
動的利用者均衡配分問題において,交通流パターンの日々の調整過程であるDay-to-dayダイナミクスを離散マルコフ連鎖で記述することで,均衡解あるいはそれに近い定常状態を求める方法が提案されている.しかし,既存研究では渋滞の延伸を考慮した交通流モデルは用いられていなかった.本研究では,渋滞の延伸が考慮できるモデルを適用して同様の計算を行う方法を構築し,テストネットワークに対して既存研究と同様な配分計算を行った.計算の結果,交通量が比較的少ない場合には渋滞の延伸を考慮した交通流モデルを用いた場合でも,日々の交通状況が定常とみられる状態に到達することが明らかとなった.また,その渋滞パターンは延伸がない場合と異なっており,渋滞の延伸を考慮することがより正しい混雑の評価のために必要であることを明らかにした.