抄録
公共交通による市民の移動を支援するために,熊本市は熊本市公共交通基本条例で「公共交通不便地域」と定義した既存鉄道駅・バス停留所から500m~1000mの地域に「ゆうゆうバス」というコミュニティバスを運行させている.しかし,運行を継続するためには30%以上の収支率を達成することを沿線住民に求めており,この運行継続基準を達成できない場合は3年後には路線を廃止するという約束が事前になされている.
本研究では,ICFの構成概念に沿った構造方程式による外出頻度モデルと社会的相互作用を考慮した手段選択モデルを構築し,これらの両モデルを用いてコミュニティバスの需要を予測し,収支率を評価する方法を提案する.さらに,運行継続基準を達成するためのサービス水準と路線沿線の環境条件との関係を分析する.