2019 年 75 巻 3 号 p. 128-138
現在,全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画に従って新幹線の整備が進められており,今後も新たな新幹線駅が建設される.しかし,建設される新幹線駅は必ずしもすべて利便性が高いとはいえない.本研究では,新幹線駅の利便性が,現在新幹線駅が立地する地方自治体の人口や就業者人口をはじめとした指標に正の影響を与えているという仮説を設定し,両者の経年変化の関係を実証的に分析した.その結果,利便性の高い新幹線駅がある地方自治体は,利便性の低い新幹線駅がある地方自治体と比較すると,それらの指標の減少幅が小さいことが明らかとなった.また,工業製品出荷額が増加しているとそれらの指標の減少幅が同様に小さいことが明らかとなった.