2019 年 75 巻 4 号 p. 221-232
本研究は,歩行機能の低下などの加齢状況において,自動車利用可能性が外出活動低下を緩和するか,について,2015年実施の全国都市交通特性調査データを用いて分析した.ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析では,買物目的では,「専用自動車利用可能」な場合,加齢状況に応じた外出活動低下の緩和が示唆された.「共有自動車利用可能」な場合や「同乗利用可能」な場合に関しては,一貫した傾向は見られなかったものの,一部のケースでは,緩和効果が示唆された.日常生活圏内での食事・社交・娯楽目的の外出活動については,「専用自動車利用可能」性の緩和効果について,女性において認められた一方,男性においては認められなかった.総じて,自動車利用可能性による外出活動低下の緩和効果については,活動目的別の差異及び男女差が示唆された.