2019 年 75 巻 4 号 p. 233-249
土木構造物の劣化過程において,外的要因の作用が直ちに構造物の劣化現象として顕在化することはそれほど多くない.むしろ,外的要因の作用が蓄積されることにより,タイムラグを経て劣化現象として発現することが多い.本研究では,リアルタイムの計測値に基づいて,構造物の長期的な劣化過程をモデリングし,予防的に異常検知を行うための方法論を提案する.具体的には,モニタリングデータに基づいて,構造物に作用する外的要因がもたらす影響に関する長期的記憶を考慮したARFIMAX-FIGARCHモデルを提案し,タイムラグを伴う構造物の劣化過程のモデル化を試みる.さらに,提案した方法論を実際の高速道路高架橋のジョイントに対するモニタリングデータに適用し,その有用性を議論する.