2021 年 76 巻 5 号 p. I_793-I_801
情報端末や自動運転技術の進歩により,交通環境は大きく変化しつつある.近年ではMaaS(Mobility as a Service)という概念が生まれ,デマンド交通が二次交通として積極的に活用されることが期待されているが,過度なデマンド交通利用による渋滞悪化も懸念される.しかし,現在の公共交通網形成計画では,デマンド交通は最小限のサービスしか想定していない.そこで本研究ではMaaSが普及した社会を想定し,運行費用と所要時間を用いて最適なデマンド交通の運行と人口分布について検証した.その結果,一定の人口集積がある地区ではマストラの端末交通としてデマンド交通を活用する階層化で運行効率の向上が図れること,デマンド交通の運行効率を考えると中心市街地では同心円状,郊外ではコリドー状の人口集約が望ましいことが明らかとなった.