2021 年 77 巻 3 号 p. 280-290
中山間地域では,路線バスからタクシーへの転換を模索する自治体が増えている.しかし,多くのタクシー事業者では運転手が減少する傾向にある.このため,所定の顧客に対して継続的にサービスが提供できるか,すなわち,供給能力が大きな懸念となる.加えて,供給能力がどれほどかを明示的に知る術がないことから,タクシーへの転換に躊躇する場合が生じうる.そこで本研究では,中山間地域の特性を踏まえてタクシー事業の供給能力を評価するための分析手法を混合整数計画法に基づいて構築する.その上で,実際のタクシーの運行履歴データを用いて,事業の供給能力の導出を試みる.