2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18084
港湾や漁港の埋没に関する漂砂解析では,モデルの誤差に加えて,解析に使用した擾乱等の外力レベルの把握も計算結果を評価するうえで重要となる.本研究では,北海道の港湾・漁港の既往の漂砂解析結果から,モデルの再現性を確認した領域(再現対象領域)の明示の重要性を示すとともに,計算による堆積速度の実測値からの誤差について,標準偏差σが約20%,2σが約40%と統計的に示した.また,堆積速度と波浪エネルギーの間に比較的高い相関が得られる港湾・漁港では,これらの関係により漂砂解析を行わなくとも,波浪観測結果による堆積量の推定が可能となる.さらに,将来の気候変動に伴う波浪推算の結果である波候予測データセット2022から,堆積速度と波浪エネルギーの1次相関を用いると,北海道太平洋側の港湾では外力の変化を想定した航路・泊地の堆積量が減少する結果となった.