2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20032
自動運転車両の実用化を進めるにはインフラ整備は必要不可欠だが,道路利用者との合意形成を行うためには,事業の妥当性の評価が必要といえる.本研究では,高速道路に焦点を当て,自動運転車両に対応した道路空間整備における費用便益分析を行った.具体的には,新東名及び東名高速道路に自動運転車両専用車線を設置することを想定した.自動運転車両利用者は乗車中のセカンドタスクが可能になることから,移動時の時間損失が小さくなるといった便益を踏まえて分析を行った.分析の結果,新東名高速道路では自動運転車両の普及シナリオに関わらず,全区間で費用便益比が 1 より大きくなった.東名高速道路では,普及シナリオ次第では渋滞による損失が発生するが,自動運転車両の混入率が 32%以上であれば,全区間で便益が発生することが明らかになった.