2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27009
世界的な気候変動の抑制には,電力の大部分をVRE(変動性再生可能エネルギー)が供給できるかが重要となる.VREの変動性は電力系統に統合の課題をもたらすが,変動性への気候変動影響は未だ考慮されていない.本研究では全世界を対象に,VREモデルを用いて,将来の気候変動がVREの供給ポテンシャルに与える影響を評価し,VRE中心の電力系統の実現可能性に関する示唆を得ることを目的とした.結果,気候変動緩和は,VREの技術的ポテンシャルに正の影響をもたらすことを示した.また,低出力が連続する期間への気候変動影響は小さく,地域的要因に強く依存することが分かった.さらに,大規模太陽光発電の季節間変動性は大きいが,風力発電と組みわせることで緩和される可能性を示した.一方で,VREによって電力の大部分を供給する場合,蓄電池等による変動性への対応が重要となることも示した.