2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27015
世界の総取水量の約70%は農業由来であり,食料生産は多量の淡水を要する.輸入国では食料輸入を通じた淡水の間接消費拡大により他国の淡水資源への依存が高まる一方,生産国ではその分だけ淡水需給が逼迫する.本研究では,2008年と2018年を対象にアジアの食料生産と食料消費に関わる淡水需給率を比較し,どのような食品の仮想水貿易が淡水需給強度を増減させるか分析した.淡水の需要と供給の逼迫程度(淡水需給強度)は淡水利用可能量に対する淡水取水量の比(淡水需給率)で評価した.両年でコメの生産と輸入,輸出それぞれに付随する淡水利用量が顕著に高くなった.食料貿易にはアジア全体として需給強度を大きく変化させるほどの効果はみられなかったが,大部分の国では食料消費に関わる淡水需給率が食料生産に関わるそれを上回った.