2024 年 80 巻 10 号 論文ID: 23-00293
構造物は日射による熱エネルギーを受け,構造部材間では日射条件や熱容量の違いから温度差が生じる.本研究では,この熱エネルギーに着目し,特に温度差が生じやすいとされる鋼床版橋梁を具体的な対象として,舗装と鋼床版の温度差を利用した環境発電を試みた.実物大の鋼床版橋梁の試験体における温度環境の計測と,有限要素モデルを用いた熱伝導解析によって,熱電モジュールに効率的に熱を伝達するデバイスの構造形式を検討した.そのうえで,鋼床版橋梁における発電に有利な設置位置について実験と熱伝導解析をもとに検討し,発電シミュレーションを実施した.制作した熱電発電デバイスによる検証実験を行い,構造物の熱エネルギーを利用した温度差発電の可能性を示した.