2024 年 80 巻 11 号 論文ID: 23-00307
人口減少下では複数市町村で共通の認識をもった広域的拠点計画が重要となる.一方で,コロナを契機としてx-minute cityの世界的注目をうけ,これからのプランニングにおいては公平性の視点も主流となる.そこで,拠点の乱立を防止しつつ,生活サービス施設へのアクセス弱者を救済する政策の実践に向け,本研究では市町村横断的に抽出した拠点候補地を対象として分析を行った.その結果 1)拠点への施設誘導に伴う周辺居住地のアクセス改善可能性の指標の提案と妥当性を示し,2)到達圏人口に基づいた施設の維持可能性を明らかにしたうえで,3)「誘導」の計画的位置づけをもつにもかかわらず,1)2)どちらも両立できない拠点が存在することが明らかになり,居住地ベースで現行の誘導方針を広域的に見直す重要性が示された.