2024 年 80 巻 13 号 論文ID: 23-13103
本研究では津波フラジリティ評価の入力となる津波シナリオ作成手法を提案し,検証する.プラントの事故シナリオを把握するためには,多様な浸水シナリオを網羅する必要があるが,1つの原子力サイトでの想定津波波源数は数百~数千にも及び,全てに対する敷地応答評価の実施は困難である.本提案手法では,原子力サイトでの平均ハザード曲線に対する寄与度から,サイトに対し有意な値を持つ波源を抽出し,抽出波源を増幅させ敷地内浸水解析を実施することで,津波シナリオを作成する.さらに抽出波源の特徴量をもとに類似波源群をグループ化することでグループの代表津波シナリオを選定する.類似波源群の特徴量および敷地内浸水解析結果のばらつきを統計的に考察することにより,手法の妥当性を検証し,津波波源と浸水特性との関係を考察する.