2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16157
令和2年7月豪雨による球磨川洪水では多くの橋梁が洪水流による流体力によって流失した.同時に橋梁の堰上げ効果による急激な水位上昇が,氾濫被害を助長させたことが考えられ,橋梁に働く流体力を適切に評価し,河川水位や流速に及ぼす影響を解明する必要がある.本研究では橋桁の流体力を考慮した三次元河川流・氾濫流一体解析法に基づいて,河川橋梁が洪水流に及ぼす影響について多角的に検討を行った.その結果,本手法は,橋桁高さや形状による河川流の流速鉛直分布の変化を反映できることが確認された.本手法を用いて橋桁無,橋桁有・流木無,橋桁有・流木有の3ケースについて検討したところ,複数橋梁による橋桁・流木抵抗は急激な水位上昇につながり,氾濫域の家屋被害や人的被害を助長することが示された.