2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18036
港湾工事の脱炭素化に向けては,港湾構造物建設時のCO2排出量算定や傾向分析が行われ,それらの結果を踏まえたCO2排出量削減方策の検討が進められている.一方で,ライフサイクルアセスメントの観点では,構造物のライフサイクル全体で生じるCO2排出量を対象に削減方策の検討を進める必要があり,構造物の供用中や供用後の解体・撤去等によるCO2排出量の把握が不可欠である.
本研究では,港湾構造物のライフサイクルで生じるCO2排出量を把握するため,実在する護岸をケーススタディとして,エンボディドカーボンを試算・評価した.また,護岸を解体・撤去後に同一断面の護岸を新たに建設することを仮定し,1世代目の護岸解体で発生した石材や土砂等を2世代目の護岸の建設材料に再利用することによるCO2排出量の削減効果を試算した.