2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18046
海岸堤防の形式の1つに重力式があるが,既設の基礎や矢板が埋設されていたりして複雑な構造になることが多い.この場合,津波来襲時の基礎地盤での浸透は複雑であり,不飽和浸透問題になることに加えて,空気が閉じ込められて空圧が発生することも想定され,その挙動の解明は進んでいないのが現状である.本研究では,越流するような大きな津波が来襲した際の堤防を対象に,地盤の浸透にも着目した遠心模型実験を実施した.その結果,堤体下部の砕石層が水に満たされる前であっても,砕石層内部の空圧が高まって揚圧力となり得ることや,砕石層下部の砂地盤から砕石層へのパイピング破壊の発生やその対策について示した.また,越流によって堤体の背後地盤が洗掘され,地盤破壊が生じて堤体が動くことも示した.