2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18108
津波が開口部を有する建物に作用する状況を対象とした数値解析を実施し,建物内部のスラブに作用する波圧・波力に与える開口部の条件の影響を検討した.水理実験結果との比較により,数値計算モデルFS3MとAnsys Fluentを組み合わせた手法の再現性を確認した.数値実験の結果より,1階天井面に作用する最大波圧の分布は,波,開口率,開口部の設置高さの条件の影響を受けることが判明した.また,1・2階間のスラブに作用する最大波力は,波や沖側壁面の開口率の条件が同じとき,沖側壁面の開口率と岸側壁面の開口率の比である開口率比の増加とともに大きくなる傾向があることが判明した.そのため,津波を正面に見る側の壁面の開口部が逆側の壁面の開口部と比べて大きな建物の場合には,スラブに大きな力が作用する可能性があることが示された.