2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18127
イセエビ稚エビの生息場を造成する育成礁に隣接して,プエルルス幼生の着生基質である人工海藻を取り付けることによって,人工海藻が育成礁の稚エビ生息数に及ぼす影響を調べた.鹿児島県内之浦湾沿岸の親エビ礁4基の上面に育成礁を3個ずつ設置した.親エビ礁2基については育成礁に隣接させて2本の人工海藻を取り付けた実験区とし,別の2基は人工海藻を取り付けないで育成礁のみとした対照区とした.設置43~194日後に合計9回の潜水調査を行い,育成礁の孔の中の稚エビ生息数を計数した結果,すべての調査において,実験区の稚エビ生息数は対照区よりも有意に多かった.稚エビの生息場を新しく造成するには,育成礁を設置するだけでなく人工海藻も併せて取り付けることで,育成礁における稚エビ生息数を増加できる可能性があると考えられた.