2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18129
気象庁MSMの降雨解析資料から台風周辺に形成される降雨クラスターの出現傾向を分析した.座標変換と2値化によって特徴的な降雨クラスターを識別できる可能性が示された.降雨クラスターは台風中心から離れるにつれて減少し,北-北東方向に多い事が示された.降雨強度は緯度や中心気圧に依存して変化し,降雨クラスター重心位置の半径方向距離は中心気圧にも依存していることが示された.降雨クラスターの方位角は移動速度や緯度,発生月への依存が確認された.降雨クラスターは反時計回りに台風から離れる方向に移動するものが支配的であるが,200km圏内では半径方向への移動はそれほど顕著ではない.また連続する時刻で円周方向の移動と台風から離れる方向の降雨クラスターの移動については比較的継続性があると思われる.