2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18181
わが国の海岸・海洋景観(以下;海景)は,「海」と周辺要素との関係が重要であることが指摘されている.この海景は,沿岸道路を自動車で移動する際,「海」と「沿道事物」で形成される構図と「道路線形や高低差」によって変化するシークエンス景観(動的景観)がその魅力に繋がると考えられ,こうした海景の多様な見え方やその形成要因を捉えることは,豊かな沿岸道路の景観形成において大きな意義をもつと認識する.そこで本研究では,千葉県房総半島の沿岸道路を対象に,走行する自動車の車窓からみた海景の見え方とその形成要因を導出した.その結果,自動車の車窓からみた海景の見え方について9つの「海景タイプ」を抽出するとともに,「海景」・「道路線形・高低差」・「沿道事物」の3者の関係からみた「海景タイプ」の形成要因を明らかにした.