2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20008
公共交通にサブスクリプション型運賃が導入されると,人々の外出の際の交通手段選択行動はどのように変化するだろうか.また,そのとき公共交通にどのような役割が求められるだろうか.本研究では,愛知県在住の 66 名の被験者を対象に公共交通無料実験を実施し,その行動変容を分析した.実験の結果,公共交通の都度払い料金が無料になると,環境要因の影響が大きい一部の利用者を除く多くの利用者が公共交通利用を増やすこと,買い物や娯楽など自由目的の公共交通利用が増え,通勤時の公共交通利用形態が変化することがわかった.また,現状では交通弱者向けの補助的な交通機関と位置付けられている低頻度の路線は,幹線系の公共交通と一体的に利用できる環境が整えば様々な外出における端末交通として重要な役割を担う可能性があることが示唆された.