2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20062
近年,高齢化や社会環境の変化に伴い救急搬送人員および救急搬送時間は増加傾向を示している.また,医療機関は都市部に集中する傾向があり,中山間地域などをはじめとする地方部では救急搬送時間が長時間化する傾向がある.このように都市部と地方部で救急医療サービスの格差が生じている.医療サービスの均てん化に向けて,各地域における救急搬送の現状や課題を明らかにし,今後の社会環境の変化による救急搬送への影響をあらかじめ分析することは有益である.本研究では,救急搬送人員データを活用して各地域における疾患・重症度別の救急搬送時間を推定するシミュレーションを開発した.また,本シミュレーションを用いて医療サービスレベル低下による影響や新たな救急搬送方法の検討を行った.