2024 年 80 巻 21 号 論文ID: 24-21004
寒冷地のアスファルト舗装では低温ひび割れが発生すると,そこから雨水が浸透し凍結融解や荷重の繰返し等により表層・基層や路盤が脆弱化し舗装の劣化をもたらす.本研究では,低温ひび割れの発生メカニズムを整理し,低温ひび割れを防止するアスファルト混合物に要求される低温性能を明らかにするとともに,その評価方法を開発した.要求性能は実測された冬季における最大日温度降下量に対応した引張ひずみ(短期性能)と温度応力が長期間作用する場合の累積ひずみ(長期性能)である.前者の評価には静的引張試験,後者には完全拘束下での温度応力試験,クリープ試験,静的引張試験の3種類の試験が実施できる新たに開発した試験システムを用いた.低温ひび割れ防止を目的に開発したアスファルト混合物は要求される低温性能を満たすことを確認した.