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松野 純一, 松本 大二郎, 江口 利幸, 山本 一雄
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21001
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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高速道路舗装では,長期的な耐久性から下層路盤には,寒冷地域を除き,セメント安定処理下層路盤を適用している.数十年にわたり交通荷重を受けたわだち部を開削調査した結果,下層路盤上面には圧密沈下と考えられる永久変形やセメント成分が中性化により非固結となり,耐久性が失われていることを確認したことから,各種の実験等を実施し,これらの原因解明を試みた.その結果,セメントの水和関連物質による微細構造がセメント安定処理路盤の長期耐久性に影響していること,変状の原因として水と二酸化炭素だけではなく,凍結防止剤がもらたす影響を確認した.また,変状メカニズムを推察するともに,これらを踏まえたセメント安定処理下層路盤の耐久性を向上させる方策を提示した.
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瀬尾 彰, 上杉 健太朗, 竹末 直樹, 小林 潔司
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21002
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
道路舗装インフラを計画的・効率的に管理・運用していくためには,舗装の現状を的確に判断したうえで将来の劣化予測を行ない,適時,適材適所の維持,修繕を行うことが肝要である.このためには舗装損傷の発現の仕方とその進展メカニズムを明らかにすることが不可欠と考える.本研究では,骨材とアスファルトの相互作用に着目し,損傷,破壊の発現の仕方とその進展メカニズムを,アスファルト混合物を非破壊で計測可能なSPring-8のX線CT装置による微視的計測により検証し考察した.その結果,骨材からのアスファルト剥離,アスファルトの凝集破壊,および骨材同士が接触している箇所が損傷起点となりうること,ならびにアスファルトの剥離抑制に有効な手法があることを確認した.これらを踏まえ,舗装損傷の抑制に資する手法を考察した.
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松本 第佑, 上野 千草, 丸山 記美雄
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21003
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
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積雪寒冷地では,厳冬期に凍結が路床まで達し,凍上によりアスファルト混合物層にひび割れが生じる場合がある.また,路床の凍結後,融解時に支持力が低下し,アスファルト混合物層のひび割れや沈下などの損傷につながることもある.そのため,凍上対策は積雪寒冷地において長寿命な舗装を構築する上で極めて重要である.本研究では,置換深さが不足し凍上による被害が生じている既設アスファルト舗装の凍上対策として,一般的に用いられる置換工法よりも掘削深さを抑制できる断熱工法について試験施工を行い,7年間にわたる追跡調査を行った.その結果,断熱工法は置換工法と同程度の凍上抑制効果および支持力を有していることがわかった.
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鈴木 とおる, 亀田 昭一, 齊藤 邦和, 亀山 修一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21004
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
寒冷地のアスファルト舗装では低温ひび割れが発生すると,そこから雨水が浸透し凍結融解や荷重の繰返し等により表層・基層や路盤が脆弱化し舗装の劣化をもたらす.本研究では,低温ひび割れの発生メカニズムを整理し,低温ひび割れを防止するアスファルト混合物に要求される低温性能を明らかにするとともに,その評価方法を開発した.要求性能は実測された冬季における最大日温度降下量に対応した引張ひずみ(短期性能)と温度応力が長期間作用する場合の累積ひずみ(長期性能)である.前者の評価には静的引張試験,後者には完全拘束下での温度応力試験,クリープ試験,静的引張試験の3種類の試験が実施できる新たに開発した試験システムを用いた.低温ひび割れ防止を目的に開発したアスファルト混合物は要求される低温性能を満たすことを確認した.
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橋 穂乃果, 齋藤 賢人, 米田 遥一, 永塚 竜也, 髙橋 茂樹
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21005
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
近年,アスファルト舗装の経年劣化による損傷と長期耐久性の課題の重要性が増している.その課題の一つである,アスファルト舗装の層間接着性を長期間保持することが可能になれば,舗装の寿命を大きく伸ばすことができると期待されているため,長期間接着性をもつタックコートの開発が進められている.これについて日本では,タックコートの接着性の評価として主に引張接着試験が用いられているが,アスファルト混合物の凝集破壊が起きてしまい,適切な評価ができないことがある.一方,欧米では,供試体を円柱形状とし,混合物の凝集破壊が抑制できるような試験治具を用いたせん断試験(以下,円柱せん断試験)で接着性を評価している.そこで,本研究では,円柱せん断試験のタックコートの接着性評価への適用性を検討した.その結果,円柱せん断試験では,混合物の凝集破壊を抑制でき,タックコートの接着性を適切に評価できることが示唆された.
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小林 靖明, 米田 陽彦, 東本 崇, 高橋 修
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21006
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
本研究では,劣化程度の異なる4種類の再生骨材を使用して再生アスファルト混合物を製造し,劣化・再生の繰り返しを複数回行った場合の,混合物の物性に及ぼす影響を評価した.劣化・再生を繰り返した再生混合物は,再生骨材の劣化程度により異なる物性を呈し,再生骨材の劣化が進行しているものほどバインダとして有効に機能しない旧アスファルトの割合が増加し,ひび割れ抵抗性や耐水性,作業性が低下することが明らかとなった.さらに,劣化程度の異なる基準外再生骨材で比較すると,劣化がかなり進行した再生骨材では,再生1回目から混合物物性の低下が認められた.その一方で,比較的劣化が進行していない再生骨材では,混合物物性の低下は緩やかであり,品質基準を満足した再生骨材と同等の性能を有することが確認できた.
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山原 詩織, 田中 俊輔, 川島 陽子, 渡邉 一弘
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21007
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
アスファルト代替バインダの実用化や普及のためには,これらの環境負荷低減効果を示す必要がある.しかし,公平かつ汎用的な評価方法が確立されているとはいえない.また,環境負荷低減効果が期待できる新材料は,一般的な材料よりコストが高い傾向にあるため,舗装材料として採用するのが難しいことが想定できる.本研究では,ISO等を参考に,舗装のLCCO2算定条件を設定した.さらに,経済性と環境負荷低減効果の両方を考慮した舗装材料選定のために,炭素税を用いたLCC・LCCO2統合方法について検討した.そして,植物由来材料や廃プラスチックを活用したアスファルト代替バインダを用いた舗装を例に,これらのLCCO2およびLCC・LCCO2統合値を試算したので,その結果を報告する.
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中村 博康, 櫻庭 晃, 笹谷 晃, 亀山 修一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21008
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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認証あり
近年,施工現場では密度管理のために電磁波式密度計測装置が用いられている.しかしながら,コア採取法と同様に点での計測となり施工範囲全体の密度を管理(面管理)することは難しいことから,非破壊で短時間かつ連続的に密度を計測する技術が求められている.本研究では,新たに開発された移動式アスファルト舗装密度計測装置(RDM)の測定精度を明らかにするために,室内試験によってアスファルト混合物の比誘電率と密度の関係を求めた.次に,構築した試験舗装のコア密度とRDMによって計測された密度を比較し,両者はほぼ等しい値を示すことを明らかにした.さらに,一般的に用いられている電磁波式密度計測装置で計測された密度と比べたところ,RDMの方が極めて高いことが分かった.
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中村 博康, 櫻庭 晃, 笹谷 晃, 亀山 修一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21009
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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認証あり
アスファルト舗装の施工では,アスファルトコンクリート(アスコン)の密度を管理することが重要であるが,コア採取や従来の電磁波式密度計測装置は点での測定であり,施工範囲の密度を面的に管理できてはいない.本研究では,4種類のアスコンの試験舗装を施工し,移動式アスファルト舗装密度計測装置(RDM:Rolling Density Meter)による現場密度の計測を行った.その結果,RDMで測定された密度プロファイルを用いて密度の等高線を描くことで,従来の方法では不可能であった密度の面管理が可能となること,さらに,転圧過程における締固め度の変化を可視化できることを示した.RDMを用いた面的な密度管理は,転圧方法の効果検証,施工機械や転圧方法の改良にとって有力な手法になる.
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福山 菜美, 佐々木 厳, 佐藤 研一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21010
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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アスファルト舗装の効率的な維持管理を行うためには,舗装の劣化性状の評価は重要な位置付けと考えている.アスファルト舗装面にひび割れの発生や締固め不足等が生じた場合,そこから水や空気が浸入することにより破損が促進される.舗装の損傷程度がアスファルトの劣化性状に与える影響を把握するために,本研究では,損傷程度の異なる既設舗装面から連続した横断方向に透気性を評価するとともに,アスファルト混合物の劣化性状および深さ方向での劣化進行度を評価した.
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チャンタン ニャット , 川島 陽子, 安藤 秀行, 百武 壮, 新田 弘之
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21011
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
日本のアスファルト舗装は,繰り返し再生利用が進んでいると見られ,「再生の繰り返し」に起因した骨材からのアスファルト剥離等の性能低下が懸念されている.アスファルト混合物の剥離抵抗性評価法としては水浸WT試験が国内で広く普及しているが,再生混合物は通常の混合物より耐流動性が高くなる傾向があり,剥離抵抗性を正しく評価できない可能性がある.本研究では,室内で繰り返し再生した混合物をHWT試験に供し,得られた結果から3通りの方法で剥離抵抗性評価を試みた.載荷回数とわだち掘れ深さの関係を近似曲線にフィッティングするSN(回)法を用いた評価結果は,繰り返し再生回数による剥離抵抗性への影響を反映しており,剥離抵抗性評価から耐流動性の影響を分離できる可能性が示された.
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木南 慶秋, 坂本 凌, 海野 寿康, 飯高 裕之, 平岡 富雄
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21012
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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認証あり
整粒機の磨砕処理による細骨材の形状変化が加熱アスファルトモルタルの力学特性に与える影響を把握するため,磨砕処理を行った細骨材(人工砂)の形状の観察,加熱アスファルトモルタルに対して,一軸圧縮試験,ホイールトラッキング試験,曲げ試験を実施し,強度特性を把握した.加熱アスファルトモルタルを作製する際には,マーシャル供試体を作製し,最適アスファルト量を求めている.その結果,磨砕処理の有無によって加熱アスファルトモルタルの最適アスファルト量および基準密度に明確な違いは認められなかった.また,アスファルトモルタルの一軸圧縮強さqu,動的安定度DS,曲げ強度σおよびひずみεにも磨砕処理の影響は認められず,細骨材の磨砕処理の有無はアスファルトモルタルの力学性能に殆ど影響を与えないことが確認された.
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安藤 秀行, 百武 壮, 佐々木 厳, 川島 陽子, 新田 弘之
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21013
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
アスファルト混合物の繰り返し再生や改質アスファルトを含む再生骨材の利用機会が増え,供用後のアスファルトの組成や劣化状態が複雑になりつつある.健全な舗装の維持と再生利用の継続には,複雑化しているアスファルトの劣化と再生のメカニズム解明が必要となる.アスファルト材料の混合性や相溶性,コロイド状態等の微視的な解析を目指し,本研究では試料表面の同一座標において,物理的・化学的性質の両方をナノ寸法で測定できるAFM-IR分析を試みた.その結果,アスファルト中に蜂に似た縞模様の凹凸構造が観測され,この構造が劣化や再生用添加剤の成分により変化する様子を確認できた.またアスファルトの微視的構造における酸化物としてのカルボニル基の分布,ならびに劣化に伴うその増加をAFM-IRを用いて観察した.
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麓 隆行, 田中 勇輝
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21014
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
高い耐流動性のアスファルトや再生骨材の利用により,アスファルト混合物のひび割れ抵抗性が変化してきていると考えられる.そのため,プラント等での品質変動を検討するひび割れ抵抗性の汎用的な試験法が必要になると考えた.そこで本研究では,SCB試験をもとに100mmの試験体を用いた汎用的なひび割れ抵抗性試験法を提案することを目的とした.実験の結果,直径150mmの試験体との比較とSCB試験の破壊過程の考察から,直径100mmの試験体で評価できることを示した.さらに,各試験条件に関する実験結果に基づき,直径100mmでの試験体を用いる条件として,可動支点,切欠き深さ10mmとし,保存温度5~20℃での検討が望ましいことを示した.
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白須 玲音, 海野 寿康, 飯高 裕之, 馬場 弘毅, 平岡 富雄
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21015
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
CAE路盤材料の非排水せん断強度に対するセメントおよびアスファルト乳剤の影響を三軸圧縮試験で評価した結果,セメントは最大軸差応力qmaxおよび変形係数E50の増加に寄与し,アスファルト乳剤は,軸ひずみ15%発生時の軸差応力q15%を最大軸差応力qmaxで除した残留強度率Rsrの増加に寄与する.また,アスファルト乳剤とセメントを併用した混合物およびアスファルト乳剤のみ使用した混合物にはいずれも,アスファルト乳剤の添加量増加に伴い,残留強度率Rsrの増加が認められた.さらに,アスファルト乳剤の添加量増加により,アスファルト乳剤とセメントを併用した混合物には強度定数である粘着力c'の増加および内部摩擦角φ'の減少が認められたが,アスファルト乳剤のみを使用した混合物の強度定数には明確な変化は認められなかった.
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吉田 龍平, 青木 康素, 佐川 聡, 平戸 利明
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21016
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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認証あり
阪神高速道路では,既設鋼床版の疲労対策として,鋼床版上面に鋼繊維補強コンクリート(SFRC)舗装を設けている.SFRCの上側に位置する表層舗装の補修時に,切削機によってSFRC舗装を部分的に切削してしまうことで,SFRC舗装に含まれる鋼繊維の毛羽立ちが発生する可能性がある.SFRCの耐久性確保を目的に防水層を設けているが,切削による凹凸や鋼繊維の毛羽立ちは,SFRC上面における防水層の防水性能を低下させる要因となる.そこで本検討では,鋼繊維の毛羽立ちを有する切削SFRC舗装上において鋼繊維を撤去せずに防水性能を確保することを目的に,表層に,基層と一体となり防水効果のある遮水層が形成可能な樹脂防水一体型アスファルト舗装を適用することを想定し,防水性等の性能について実験的な検討により,従来の加熱型アスファルト塗膜防水と比べて高い性能を有することを確認した.
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塚田 義典, 中村 健二, 小野 蒼太, 中辻󠄀 悠太, 今井 龍一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21017
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
都市高速道路の橋面舗装の定期点検では,高解像度なラインスキャン画像が使用されている.オペレータは,ラインスキャン画像から目視によりひび割れの有無を判定している.この作業には,多大な時間と労力を要する.そのため,既存研究では,分割した画像単位でひび割れの有無を自動判定する手法が考案されている.しかし,この手法では,ひび割れの有無をピクセル単位で特定できないため,オペレータの作業を代替できる成果が得られない.
本研究では,画像領域分割を用いて,ラインスキャン画像からひび割れをピクセル単位で検出する手法を考案した.実証実験の結果,密粒舗装および排水性舗装のひび割れ検出のF値が約0.8となった.さらに,舗装種別に応じた最適な画像領域分割の手法とひび割れの検出に有効となる画像処理を解明した.
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柳澤 ひかり, 浅田 拓海, 小林 岳
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21018
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
北海道では,サイクルルートの指定が進められている中,ひび割れ路面での走行安全性・快適性の低下が懸念されている.通常の路面性状測定と自転車走行部のひび割れ測定を統合的に実施し,ネットワークレベルでの舗装評価が可能になれば,効果的な路面マネジメントの展開につながる.本研究では,著者らが開発した簡易型路面性状測定技術に自転車走行部のひび割れ形状判別手法を組み込むとともに,シナリオ分析とホットスポット分析などの空間情報分析を組み合わせたネットワークレベル舗装評価手法を構築した.さらに,本手法をトカプチ400に適用し,現状の維持管理により約5%の区間で自転車走行部の路面が改善されることを示し,また,北側山岳部や南東平野部において安全性の低下要因となる縦ひび割れが約3kmに渡って連続する区間を客観的に抽出した.
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谷口 颯汰, 薛 凱, 長山 智則
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21019
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
道路インフラの供用においては舗装の状態を適切に把握して維持管理することが求められる.しかしながら,舗装状態を把握する手法は効率性や精度,コストのいずれかで課題を有しており,高効率,高精度で安価な手法が期待される.そこで本研究では,車載のスマートフォンを用いた画像解析によるわだち掘れ評価手法を高精度化し,更に縦方向の局所的な路面形状も対象にした3次元路面形状推定方法を提案し,実験的に検証した.わだち掘れ評価においては,特徴量マッチングを用いた鳥瞰変換の補正と,テンプレートマッチングを用いた画像の歪み評価の改善によって,精度を向上させた.提案手法は,路面形状を3次元的に推定可能で,ポットホールやジョイント段差の評価にも適用可能である.
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佐野 実可子, 松井 晋, 櫻庭 晃, 森岡 亨, 亀山 修一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21020
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
舗装の維持管理を効率的に行うためには,損傷が大きくなる前に措置を講じる予防保全型の維持管理が求められる.本研究では,現行のひび割れ率による損傷状態の評価に加え,MMSの点群データから予測されるひび割れの進行度を用いて将来の損傷状態を評価する方法を試行した.本方法を東北地方の国道に適用し,ひび割れ率を舗装点検要領に準じて診断区分I・II・IIIの3つ,ひび割れ進行度を「低(L)」と「高(H)」の2つ,併せてI-L,I-H,II-L,II-H,IIIの5つに分類した.修繕に当たってはひび割れ率IIIを最優先とし,ひび割れ率IIの場合はひび割れ進行度が高いII-Hを優先すること,また,ひび割れ率の診断区分がIであってもひび割れ進行度が高い要注意区間(I-H)が存在することを明らかにした.
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伊藤 将光, 富山 和也, 目黒 謙一, 中村 太一, 佐藤 正和
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21021
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
高速道路は幹線道路網を構築する上で重要な役割を果たしている一方,利用者からの電話やメールによる路面性状に対する意見(以下,入電)が寄せられており,車両の高速走行を可能とする高いサービス水準を維持するためには,利用者がストレスなく走行可能な路面の効果的な維持管理が必要となる.本研究では,路面の予防保全を目的に,高速道路利用者より寄せられた入電の分布状況と原因について,損傷形態を分類したうえで地理分析に基づく分析を行った結果,へこみや穴などの損傷増加は,夏期の降水および冬期の気温低下が一因となっていることを明らかにした.また,個々の入電箇所に着目した路面プロファイル分析を行った結果,波長4-8m付近の路面波長卓越度の増加具合を把握することで,入電に繋がる路面損傷の発生を確認できることを示した.
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真田 拓磨, 富山 和也, 山口 雄希, 森石 一志
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21022
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
幼児用座席付き自転車は幼児と運転者が一緒に移動する手段として一般的となっている.このような中,幼児用座席を考慮した路面評価に関する研究において,同乗者に影響が懸念される平たん性は検討されているものの,平たん性低下原因となる局部路面変状規模は明らかではない.本研究は,自転車の幼児用座席に乗車した幼児への危険性が懸念される車両振動が発生する段差に着目し,走行試験による振動評価および路面プロファイルの解析手法の検討により局部路面変状規模の把握を目的とした.その結果,段差量増加に伴い危険性が懸念される振動影響は増加することを明らかにした.また,幼児用座席に発生する振動特性を考慮した差分フィルタを提案し,路面プロファイルに適用することで,危険性の高い局部的路面変状を可視化できることを明らかにした.
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明田 拓士, 髙橋 清, 富山 和也, 栗栖 嵩
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21023
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
これまで,BRI(Bicycle Ride Index)による路面評価は,自転車が走行する車道外側線付近の一測線上を対象としていた.しかし,自転車利用者は走行時にある程度の幅の間を走行するため,従来の線的な評価ではなく面的な評価が必要といえる.本研究では,MMS(Mobile Mapping System)を使用して取得した点群データを用い,BRIによる自転車走行路の評価を行うこととMMSの有用性についての検討を目的に,点群データから路面プロファイルを抽出しBRIを算出した.その結果,BRI値が高い箇所の路面性状を確認すると特異な路面性状が確認でき,MMSで取得した点群データから抽出した路面プロファイルを用いて,BRIを算出することで面的な自転車走行路の評価が可能であることを明らかにした.
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畑山 良二, 松野 純一, 兵藤 陽一郎, 西澤 辰男, 亀山 修一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21024
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
高速道路におけるアスファルト舗装の長寿命化を目的とした修繕工法として,高耐久型改質アスファルトを基層とアスファルト安定処理路盤に用いる基層・アス安高耐久化工法と,車輪通過部の下層路盤を一定間隔で強化するセメントパイル補強路盤工法を考案した.それぞれについて3DFEMによって算出したひずみから疲労寿命を求めた.基層・アス安高耐久化工法では,疲労破壊回数は,供用中のアスファルト混合物と同じ材料で修繕する場合の5.7倍になった.(基層-アス安)と(アス安-下層路盤)の層間付着の程度を変化させて疲労寿命を求めたところ,(基層-アス安)の付着が疲労寿命に大きく影響を及ぼすことが分かった.また,セメントパイル補強路盤工法では,供用中のアスファルト混合物と比べ疲労破壊回数が1.2倍になった.
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中尾 信之, 田中 俊輔, 渡邉 一弘
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21025
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
舗装の早期劣化メカニズムとしてひび割れ等から舗装内部に浸入する水が主な要因であることがわかってきている.しかしながら,水による損傷の進行過程やその程度については依然として不明な点も多い.
そこで本研究では,舗装内部へ水が浸入する状態を再現した試験工区を構築して実大載荷試験を実施し,舗装内部へ水が浸入した際の舗装内部の劣化の進行や挙動について検証した.その結果,舗装内部に設置したひずみ計や土圧計のデータから,粒状路盤上面の圧縮ひずみは交通履歴や含水状況によってその傾向が変化しているが,それらがただちに路床まで影響を及ぼすものではないことが示唆された.さらに,上層路盤と下層路盤の層間でキャピラリーバリアが機能していることが示唆された.
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鈴木 一隆, 神谷 恵三
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21026
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
高速道路舗装の補修について,経年劣化や表層における高機能舗装(排水性舗装)の適用等により,損傷層の深層化と共に補修サイクルの短命化が観測されている.このため,損傷が深層化する前に直す予防保全が重要となる.本稿では,予防保全の検討のため,舗装マネジメントシステム(PMS)の補修履歴,路面性状データを用いて,分析を行った.はじめに,早期補修の有効性について,北陸自動車道のある管内における各補修層数の第1回の補修時期と耐用日数について分析を行った.次に,点在する希少なFWD測定を補完するため,機械学習に基づくたわみ量の推定モデルの改良を行った.さらに,PMS分析における補修を繰り返した箇所をケーススタディとして,推定モデルを用いて支持力の推移を分析し,下層支持力の管理手法についての提案を行った.
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中山 孝博, 西澤 辰男, 小松原 昭則, 日東 義仁, 石原 健一
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21027
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
ジャーナル
認証あり
北陸自動車道敦賀管内トンネル内のコンクリート舗装は40年以上供用され,横目地部の劣化による舗装全体の損傷が進んでいる.そこで,大規模修繕の事前準備としてFWDによる横目地の構造調査を実施した.その結果を劣化Stageを考慮した逆解析法により解析した結果,ダウエルバーの切断や目地下の空洞の存在が明らかになった.これらの結果を踏まえたコンクリート舗装版の応力解析および疲労解析を行った.その結果,空洞が100cm以内であれば,バーステッチ工法のみによる補修で横目地の機能回復を図り,それ以上の空洞がある場合にはバーステッチまたは打換えという修繕方針を立案した.
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横澤 直人, 西澤 辰男, 藪 雅行, 渡邉 一弘
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21028
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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コンクリート舗装の活用が適材適所で進められるためには,コンクリート舗装のより一層の長期供用性の評価が重要である.また,普通コンクリート舗装で使用されることが多い鉄網は,効果や施工性について検討の余地があるとされている.本研究では,供用24年が経過した国道4号平泉バイパスのコンクリート舗装区間を対象とした追跡調査及び3次元FEMを使用した逆解析を行い,コンクリート舗装の長期供用性の評価と鉄網の効果について検証した.検証の結果,経年によって一部の版で損傷が進展してはいるが,工区全体では概ね健全な状態を保持していることが確認された.また,鉄網については,設計上期待されているひび割れの進展抑制効果は確認されず,反対に路面損傷の要因となっているケースが確認された.
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遠藤 大樹, 泉尾 英文, Jaganmuthu Senthilvelan , 上野 敦
2024 年80 巻21 号 論文ID: 24-21029
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/26
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コンクリート舗装のマイクロテクスチャの算術平均粗さRaは,摩耗前後ですべり抵抗性との関係性が異なるといわれている.この原因を明確にするため,RaおよびJIS B 0671-2に準拠した負荷長さ率Rmrを用いて摩耗前後のマクロおよびマイクロテクスチャがすべり抵抗性に影響を与える要因について検討した.この結果,マイクロテクスチャのRaは,すべり抵抗性が低下したトンネル内路面のような平滑面や摩耗面に対する適用性は高いが,初期のほうき目形成状況や摩耗作用を受けたほうき目の残存状況によるマクロテクスチャの影響を受けやすい指標であることが示唆された.そこで,ほうき目形成状態の影響を受けにくいRmrと平滑面に適するRaを組み合わせたすべり抵抗予測モデルを提案した.
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