2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25012
アルテミアの長期飼育のための餌料として,標準活性汚泥法の下水処理水を基質に用いて培養した微細藻類を活用し,その成長と生存率を調べた.屋外における培養によって,Scenedesmus quadricaudaを優占種とする緑藻綱が増殖した.その栄養成分の割合は,灰分(36%)が最も高く,クロレラに比べてタンパク質や脂質の割合は低かった.脂肪酸の種類は処理水由来微細藻類の方が多様であり,EPAや低い割合であるのもののDPA等の不飽和脂肪酸も検出された.処理水由来微細藻類を与えたアルテミアの飼育実験では,クロレラを与えた個体よりも初期の成長に遅れがみられたものの,70日以上の期間に渡って生存し,成体まで成長した.生殖活動やノープリウスの誕生も確認され,処理水由来微細藻類がアルテミアの長期飼育の餌料として有効であることが示された.