2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25014
CO2の排出削減と資源化は,世界的な課題として認識されており,バイオメタネーション技術がその解決策の一つとして注目されている.実際のバイオメタネーション反応槽においては,微生物の多様性や相互作用が複雑であり,その変動が発酵効率に大きな影響を与えるので,定量的に解析を行う必要がある.本研究では,効率的な脱炭素とCH4生成を目指して,総容積15Lの嫌気性膜分離リアクターを用いた長期連続実験を行い,炭素負荷の変化に伴う脱炭素効率および微生物群集構造の変化を評価した.その結果,炭素負荷が1.0g-C/L/dの場合,脱炭素率は85%以上に達することが確認された.炭素負荷の向上に伴い,反応槽における優勢菌種はメタン生成古細菌であるMethanosarcina(17.7%)から,水素資化メタン生成古細菌であるMethanobacterium(39.4%)に変化し,高いCH4生成速度(67mL/gVSS/h)が得られた.ろ過膜を用いた固液分離により,メタン生成古細菌を反応槽内で高濃度に保持することで,脱炭素効率の向上および高速のCH4生成が可能になることが分かった.