2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25036
本研究は,生活排水処理システムの集合処理と個別処理の最適配置を,多面的な評価軸から数理的に見出すことを目的とした.世帯あたり年間の整備・維持管理コスト,温室効果ガス排出量,消化ガスポテンシャル,及びリン回収ポテンシャルが集合処理と個別処理で均衡する人口密度は,これまで収益分岐点とされてきた1ヘクタールあたり40人よりも低いことが示唆された.仮想居住地区を対象に,上記4指標の重み付け合計値(消化ガス及びリン回収ポテンシャルは負の重み付け)が最小となる集合処理と個別処理の割り当てを数理最適化により求めた結果,世帯密度が1ヘクタールあたり2.4世帯の地区の集中分散ベストミックスが明らかになり,全世帯集合処理の場合及び全世帯個別処理の場合よりも温室効果ガス排出量及びコストを抑えられる結果となった.